他事考慮(目的ないし動機の不法)
概要
Xが劇物とされた催涙剤(護身用具であるストロングライフ)をドイツから輸入するのに、毒物及び劇物取締法に基づき、厚生大臣Yに輸入業の登録申請をしたが、毒物及び劇物取締法により登録を拒否した。
そこでXが、本件の登録は羈束行為としての許可であり、法所定の拒否事由が存しないのに登録を拒否したのは違法であるとして、拒否処分の取消しを訴求した。
最高裁判決 (昭和56年2月26日、第一小法廷)
人の身体に有害あるいは危険な作用を及ぼす物質が用いられた製品に対する危害防止の規制は、他の法律にいくつか存する1)例:食品衛生法、薬事法、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律、消費生活用製品安全法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律等。。
毒物及び劇物取締法は、毒物及び劇物の輸入業等に対する規制は、専ら設備の面から登録を制限すること(5条)。
本件ストロングライフが用途に従つて使用されることにより人体に対する危害が生ずるおそれがあることをもつて輸入業の登録の拒否事由とすることは、設備に関する基準に適合するか否かにかからしめている法の趣旨に反し、許されない。
毒物及び劇物取締法
第5条(登録基準)
厚生労働大臣、都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業の登録を受けようとする者の設備が、厚生労働省令で定める基準に適合しないと認めるとき、又はその者が第19条第2項若しくは第4項の規定により登録を取り消され、取消の日から起算して2年を経過していないものであるときは、第4条の登録をしてはならない。
第4条
《詳細》
- 第4条(営業の登録)
- 第4条の2(販売業の登録の種類)
- 第4条の3 (販売品目の制限)
《詳細を隠す》
- 他事考慮(たじ-こうりょ)
他事(た‐じ)
ほかのこと。その人に関係のないこと。余事。よそごと。 – goo辞書
考慮(こう‐りょ)
物事を、いろいろの要素を含めてよく考えること。 – goo辞書
References
1. | ↑ | 例:食品衛生法、薬事法、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律、消費生活用製品安全法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律等。 |